夫が旅立って、もうそろそろ4年になります。 あっという間の時の流れを感じています。
大勢の皆さんに応援していただいて、今私たちがここにいる。 本当に感謝しています。
今日はリハビリの笛「森の笛 ポーネ」の事を書きます。
ポーネは、私が夫の介護を経験した中で感じ・考えたことを形にしたものです。
夫が舌にできているこれは何だろう?と思った時から、、約7年間の闘病生活でした。
3大治療(手術・抗がん剤・放射線)は選択せず、食べ物に気をつけながら、木の笛の製作・演奏活動を仕事としながら闘病してきました。
この間、入院期間は100日余り。 2009年夏、病状が悪化し舌の90%を摘出した時だけです。
舌をとってしまったら、いったいどうなるのかととても不安でした。
舌が無くなる。 それは思った以上の事でありました。
けれども手術までに5年半が経過していたので、手術後自分から動き始めることで何かを吹きっていったように思います。
夫は、術後1カ月で屋上に上がって、リハビリのために自作の笛を吹き始めました。
訓練として笛を吹く。
無くなった舌の代わりに、喉でタンギングができるようになるまでに時間は必要としませんでした。 笛を吹く。
息を吸って吐く。
大きく吸って、コントロールしながら吐く。
舌を失って初めて舌の働きの偉大さに気づく。
そのうち彼オリジナルのリハビリが、周りの人の心を動かし始めました。 あんなに障害を負った人が、前向きに動き始めている。
息を吸って息を吐く。
その当たり前のことが、希望という前向きな思考を生むと本人も私も気づきました。
半年後には、茅野市民館で300人のお客様を迎えて復活コンサートをして、周囲を驚かせました。
その後まもなく顎にがんが再発したのですが、亡くなるまでの8か月を在宅で過ごしました。
唾液や体液で嚥下障害を起こしても不思議ではない状態でしたが、肺活量が幸いして痰を吐きだすことができ、 笛を吹いてきたおかげで口の筋肉が発達し、最後の時まで会話ができました。
全て笛を吹いてきたおかげです。
2012年、介護経験を基にハンディキャップのある方や高齢の方にも音で表現ができる笛を作りたいと開発したのが、リハビリの笛「森の笛 ポーネ」です。 私の想いを、仲間の小松正和氏が形にしてくれました。 特許アドバイザーの富岡先生の指導で、実用新案を自力で申請。 商標登録もして、私たちの商品として皆さんにご紹介していけることになりました。
この笛は、リハビリという役割のみならず、人と人を結んだり希望を生むツールになっていくと、開発者の私・安川みどりは信じています。
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